【北東アジア非核兵器地帯設立を求める宗教者声明】日本は「核の傘」依存を止め、禁止条約に参加を宗教者124人分の署名を政府に提出

公開日:2017.10.12

17年6月15日、「北東アジア非核兵器地帯設立を求める宗教者声明」の代表呼びかけ人ら7名が外務省を訪れ、岸田外務大臣あての要請書を124人の声明賛同署名を添えて提出した。呼びかけ人らは、日本政府の「核兵器禁止条約交渉」への不参加と、その根底に「核の傘」依存政策があることを批判し、同政策の変更を真剣に検討するよう求めた。


 この日は、16年2月12日に発足した同キャンペーン1として、最初の署名提出の機会となった(2~3ページの資料1・2・3)。
 行動に参加した呼びかけ人は小橋孝一(日本キリスト教協議会議長、代表呼びかけ人)、高見三明(カトリック長崎大司教区大司教、代表呼びかけ人)、小野文珖(日蓮宗天龍寺院首)、朝倉真知子(カトリック市川教会信徒)の各氏である。他に協賛団体である世界宗教者平和会議日本委員会から篠原祥哲氏、ピースデポから梅林、湯浅が同行した。まず長崎から駆けつけた胎内被ばく者でもある高見大司教から薗浦健太郎外務副大臣に要請書を手渡し、小橋議長が声明文を読み上げ主旨を説明した。
 対応した薗浦副大臣は、「朝鮮半島の非核化は、政府にとっても目標であり大賛成である。しかし、北東アジアは厳しい安全保障環境にあることも事実である」と答えた。6か国協議の再開は考えていないのかとの問いには、北朝鮮以外の5か国で協議はしているが、北朝鮮は中国の言うことも聞かなくなっており、簡単ではないと述べた。
 また、参加者からは、同日、国連で再開された核兵器禁止条約交渉に日本政府が参加しないことについて、被爆国として核兵器の非人道性を熟知している立場から核兵器廃絶へのイニシャチブを発揮するためにも、積極的に参加すべきだとの発言が相次いだ。これに対し薗浦副大臣は、核保有国と禁止条約推進国との間の溝は深刻で、両者の橋渡しをすることをめざす日本政府としては、参加しない方がいいと判断している、と繰り返し答えた。
 短時間の面談であり、両者の言い分を主張しあったにとどまるが、宗教者が、「日本政府が核兵器依存政策から脱却するための政策検討を始めること」、そして、その具体的な方策として北東アジア非核兵器地帯構想に一歩踏み出すべきことを申し入れた意義は極めて大きい。
 その後、衆議院第2議員会館において記者会見を行った。今後もこの署名をできる限り多く集めること、取り組みを国際的に発信し、海外の宗教者に広め、かつその支援を得ていくことなどが確認された。(湯浅一郎)


1 本誌490-1号(16年3月1日)参照。