<資料3>インド外相の2008年9月5日付声明(抜粋訳)
公開日:2017.04.13
(前略)
インドは、普遍的で、差別的でない、全面的な核兵器廃絶を長きにわたり確固として公約している。ラジブ・ガンジー元首相が1988年に国連に提出した核兵器のない世界へのビジョンは今も万民の共感を得ている。
(略)
我々の民生用核計画は、国際的な不拡散体制を強化するものである。全面的な民生用核協力の開始は、インドにとっても世界にとっても良いことであると信じる。それは、世界的なエネルギー安全保障及び気候変動との取り組みの努力に対して、きわめて有益な影響を与えるであろう。
(略)
我々は、自発的で一方的な核実験のモラトリアムを継続する。我々は、核兵器競争を含むいかなる軍備競争にも加わらない。我々はつねに、グローバルな責任を認識しつつ戦略上の自主性を堅持してきた。我々は核兵器を先制使用しないという政策を確認する。
我々は、軍縮会議における、普遍的で差別的でない、検証可能な多国間の核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉を妥結に導くために、他の国々とともに努力してゆくことを約束する。
インドは非の打ち所のない不拡散の実績を有している。我々は、実効的で包括的な国家的輸出管理システムを持っており、それはもっとも高度な国際標準に合致するよう絶えず更新されてきた。これを明らかにしたのが2005年の「大量破壊兵器及び運搬手段(禁止)法」である。インドは、包括的な輸出管理立法措置とミサイル技術管理レジーム(MTCR)及びNSGガイドラインの遵守という両面から、核物質及び技術の保安のための必要な措置を段階的にとってきた。
インドは、濃縮技術や再処理技術の移転を含め、機微な技術の拡散源とはならない。我々は、不拡散体制の強化を支持する。我々は、濃縮・再処理装置を保有していない国々にこれらの装置が広がることを制限するための国際的努力を支持する。我々は、国際社会と協力して不拡散という共通の目標のために努力する所存である。これに関連して、インドはトリウム燃料及び国際燃料バンクの設立に供給国として参画する意思がある。それはインドの利益にも合致する。
インドは、IAEA の核保障措置システムが果たしている役割に大きな価値を見出している。インドはIAEAとの間で合意に達した保障措置協定の実質化のためにIAEAと協働してゆく所存である。民生用核施設に関する追加議定書に署名し、それを遵守するとの公約に従い、我々は保障措置協定追加議定書の早期締結実現に向けてIAEAと密接に協働している。
(訳:ピースデポ。強調は編集部)
初出(本誌313号、08年10月1日)より抜粋して再掲。