<資料1>欧州におけるミサイル防衛の実施(在ブカレスト米国大使館ウェブサイト)

公開日:2017.07.15

2016年5月11日最終更新

 端的に言えば、我々の欧州における新しいミサイル防衛構想は米国とその同盟国の戦力に対し、より強力で、高性能で、迅速な防衛力を提供する。それは、以前の計画より包括的なものであり、検証済みで対費用効果の高い能力を展開し、米本土を長距離弾道ミサイルの脅威から守る責務に基づくものであるとともにそれを持続する。そして全NATO加盟国への防御を保証し、強化する。
―オバマ大統領

 オバマ大統領は米国と、その海外に派遣された兵力、欧州の同盟国とそのパートナーを、増大する弾道ミサイルの脅威から守ることを誓約している。2009年9月、国防長官と統合参謀本部長の勧告に基づき、オバマ大統領は、より早期に、より包括的な防御を提供するため、ミサイル防衛のための欧州段階的適応アプローチ(EPAA)を発表した。この2年間、政府はNATO諸国と協働し、このアプローチの実施において目覚ましい進展を見ており、大統領が打ち出した到達目標に向かっている。
 EPAAの発表以来、政府はEPAAをNATOの環境の中で実施する願望を明らかにしてきた。2010年11月のリスボンサミットでNATOは、弾道ミサイルの拡散によって引き起こされる脅威の増大に対して全てのNATO加盟欧州諸国の住民と領土、戦力を完全に保障し保護することを目的に、ミサイル防衛能力を承認するという歴史的決定を行った。この決定は、同盟が直面する21世紀の一連の脅威に対抗するNATOの抑止態勢を拡大し、強化する我々の努力と軌を一にしている。NATOはまた、NATO加盟欧州諸国の住民、領土、戦力を保護するために、その現在のミサイル防御の指揮・管制・通信能力を拡張することにも合意した。リスボンでNATO諸国はEPAAをNATOのミサイル防衛に対する米国の国家的な貢献として歓迎するとともに、他のNATO加盟国の追加の自発的な貢献を歓迎した。
 EPAAには、2010年代の残りの期間にわたって実施される4つの段階がある。それぞれの段階で進展があったし、大統領が2009年に設定した目標の達成に向かっている。

・ 第1段階(2011年までに実施)は現在の検証済みのミサイル防衛システムを配備することによって、短距離及び準中距離弾道ミサイルの脅威に対処する。これは、検証済みのSM-3 Block IA 迎撃ミサイルを装備した、イージス弾道ミサイル防衛システムが搭載可能な艦艇の配備を必要とする。今年3月、米艦モントレーは、EPAAを支援するため持続的なローテーションで地中海へ派遣される艦船の最初の一隻になった。第1段階はまた、トルコがNATOミサイル防衛計画の一部としてその受け入れ国になることを最近合意した、地上設置式早期警戒レーダーの配置も必要とする。
・ 第2段階(2015年までに実施)は、ルーマニアへの地上設置型SM-3ミサイル防衛迎撃基地の実戦配備と、より高性能のSN-3迎撃ミサイル(Block IB)の配備によって、短距離及び準中距離の脅威に対する我々の守備範囲を広げる。今週、9月13日に米国とルーマニアは米国・ルーマニア弾道ミサイル防衛協定に署名した。批准されると、米国はルーマニアに陸上配備型弾道ミサイル防衛基地を建設し、維持し、運営してよいことになる。
・ 第3段階(2018年までに実施)は、ポーランドに建設される地上設置型SM-3基地とより進歩したSM-3迎撃ミサイル(Block IIA)の配備によって、中距離及び準中距離ミサイルの脅威に対する防御力を改善する。ポーランドは2009年10月に迎撃ミサイル基地の提供に合意した。そして今日、ポーランドの承認手続きは完了し、合意は効力を発した。
・ 第4段階(2020年までに達成)は中東から米国への中距離ミサイル、ならびに将来における潜在的な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威に対抗する能力を、SM-3 Block IIB迎撃ミサイルの配備を通して強化する。それぞれの段階はミサイル防衛の指揮管制システムの更新を含んでいる。

 大統領がEPAAを発表した際に、彼がミサイル防衛に関するロシアの協力を歓迎したことに留意することは重要である。我々はこの側面でも進展を得た。2010年11月にNATO・ロシア評議会(NRC)サミットで、NATOとロシアはミサイル防衛協力の機会を探る約束をした。ロシアとの効果的な協力は、我々の地域全体のミサイル防衛能力の全般的な有効性と能率を向上させることになると同時に、NATOとロシア両方に、より大きな安全保障をもたらすだろう。第一段階としてNATOとロシアは統合弾道ミサイル脅威評価を完了し、評議会が戦域ミサイル防衛協力を再開することに合意した。米国とロシアはまた、国務省や国防総省での数多くの高官作業部会を通じてミサイル防衛協力の議論を続けている。
 前に進むべく、政府は2009年9月に大統領が定めたビジョンを実施するため、連邦議会やNATO諸国と緊密に協議を続ける。我々はまた、弾道ミサイルによって引き起こされる脅威と、我々がその迎撃のために開発している技術の評価を精力的に続ける。合衆国は引き続き、新興の脅威への自在な対処を可能にする、対費用効果が高く、検証済のミサイル防衛に専心する。
 米国のミサイル防衛政策に関する詳細は、「弾道ミサイル防衛見直し」(BMDR)をご覧いただきたい。

(訳:ピースデポ)

原文:
http://romania.usembassy.gov/policy/missile_defense.html