<資料>国連安保理決議2270(抜粋訳)

公開日:2017.07.24

【資料】
国連安保理決議2270(2016)
2016年3月2日、第7638回会合にて採択

 安全保障理事会は、
(略)
 DPRKの進行中の核及び弾道ミサイル関連活動が、地域内ならびに地域を超えたさらなる緊張の増加を生み出していることに重大な懸念を表明し、国際の平和と安全に対する明確な脅威が引きつづき存在していると決し、
 国際連合憲章第Ⅶ章の下で行動し、同第41条の下で措置を執り、

1. 理事会の関連決議に違反し、かつそれらを甚だしく無視して行われた、DPRKによる2016年1月6日の核実験を最も強い言葉で非難し、さらに、2016年2月7日に同国が、弾道ミサイル技術を用い、決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)及び2094(2013年)に著しく違反して行った発射を非難する。
2. DPRKが、二度と弾道ミサイル技術を用いた発射、核実験、あるいは他のいかなる挑発をもおこなってはならないこと、そして、あらゆる弾道ミサイル計画関連活動を凍結し、この文脈においてミサイル発射のモラトリアムに関する既存の誓約を再確立しなければならないこととした理事会の決定を再確認し、DPRKに対して、ただちにこれらの義務を全面的に遵守することを要求する。
3. DPRKが、すべての核兵器と現存する核計画を、完全で検証可能、かつ不可逆的な方法で廃棄し、関連するすべての活動をただちに中止しなければならないとの理事会の決定を再確認する。
4. DPRKが既存の他のすべての大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画を、完全で検証可能、かつ不可逆的な方法で廃棄しなければならないとの理事会の決定を再確認する。
5. 全加盟国が、決議1718(2006年)第8節(c)にしたがい、自国国民による、もしくは自国領土からDPRKへの、または、DPRK国民による、もしくはDPRK領域からの、核兵器、弾道ミサイル、もしくは他の大量破壊兵器に関連する物品、材料、装置、物資及び技術の供給、製造、維持管理もしくは使用に関連する技術訓練、助言、役務もしくは援助のいかなる移転をも防止しなければならないことを再確認する。さらに、この禁止事項は、DPRKが、たとえ衛星発射体もしくは宇宙発射体の特質を持つものであろうとも、弾道ミサイル技術を用いた発射に関して、他の加盟国とのいかなる形態における技術協力にも関与することを禁止するものであることを強調する。
6. 決議1718(2006年)第8節(a)は、小火器及び軽兵器並びにそれら関連物資を含むあらゆる兵器とその関連物資のほか、それら兵器及び関連物資の供給、製造、維持管理もしくは使用に関連する金融取引、技術訓練、助言、役務提供もしくは援助にも適用されることを決定する。
7. 決議1874(2009年)によって拡大された決議1718(2006年)第8節(a)、同(b)及び同(c)によって課せられている義務は、所有権もしくは管理の移転の有無にかかわらず、DPRKに向けた、もしくはDPRKからの修理、点検、改修、試験、分解模倣及び売買のための輸送に関して適用されることを確認する。また、決議1718(2006年)第8節(e)に明示された諸措置は、本節記載の活動を遂行することを目的に渡航する、いかなる個人にも適用されることを強調する。
8. 決議1718(2006年)第8節(a)及び同(b)によって課されている措置は、加盟国が、当該物品がDPRKの軍の作戦能力の開発、または、DPRK以外の他の加盟国の軍の作戦能力の支援もしくは向上に貢献する輸出に直接的に寄与しうると判断した場合には、食料品と医薬品を除くいかなる物品にも適用することができることを決定する。さらにまた、本条項は、下記の場合における物品の供給、販売もしくは移転には適用されないことを決定する:
(a) 加盟国が、当該活動が、DPRKの個人または組織に収益をもたらすために利用されない、人道目的もしくは生活目的に限ったものであり、決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議によって禁止されたいかなる活動にも関連しないと決定した場合であって、当該国家が制裁委員会に決定前に通知し、物品の他の目的への転用を防止する措置について同委員会に情報提供した場合、または、
(b) 制裁委員会が、特定の供給、販売もしくは移転が決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議の目的に反しないと事案ごとの判断において決定した場合。
9. (略)
10. 決議1718(2006年)第8節(d)に明示された諸措置は、本決議付属文書Ⅰ及びⅡに列挙された個人及び組織、並びに、それら個人もしくは組織に代わって、またはそれら個人もしくは組織の指示のもとに活動する個人もしくは組織、並びに、それら個人もしくは組織が不正な方法を含めて所有もしくは管理する組織にも適用されることを決定する。
11. 決議1718(2006年)第8節(e)に明示された諸措置は、本決議付属文書Ⅰに列挙された個人及びそれら個人に代わってまたはその指示のもとに活動する個人にも適用されることを決定する。
12(略)
13. DPRKの外交官、政府代表、または政府の資格において活動しているそれ以外のDPRK国民が、特定された個人もしくは組織、または制裁回避を援助し、もしくは決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)および本決議の諸条項に違反している個人もしくは組織に代わって、もしくはそれらの指示のもとに活動していると、加盟国の一つが判断した場合には、当該加盟国は適用可能な国内法及び国際法に従い、当該個人をDPRKへ送還することを目的として域外に追放しなければならない。ただし、本節のいかなる規定もDPRK政府代表が国際連合業務を遂行するために国際連合本部もしくは他の国際連合施設に立ち入ることを妨げるものではない。さらに、本節の他の諸規定は、次の場合には特定された個人に適用されないことを決定する: a)当該個人の存在が司法手続きの遂行に必要なとき、 b)当該個人の存在が医療、安全、その他の人道目的のみのために必要なとき、 c)制裁委員会が、当該個人の域外追放が決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議の目的に反すると、事案ごとの判断において決定したとき。
14. 当該国の国民ではない個人が、特定された個人もしくは組織に代わって、もしくはそれらの指示の下で活動し、制裁回避を援助し、または、決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)および本決議の諸条項に違反していると、加盟国の一つが判断した場合には、当該加盟国は適用可能な国内法及び国際法に従い、当該個人を当該個人が国籍を有する国へ送還することを目的として域外に追放しなければならない。ただし、当該個人の存在が、司法手続きの遂行に必要なとき、あるいは医療、安全、もしくは他の人道的目的に限って必要なとき、または、制裁委員会が、当該個人の域外追放が決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議の目的に反すると事案ごとの判断において決定したときはこの限りでなく、また、本節のいかなる規定もDPRK政府代表が国際連合業務を遂行するために国際連合本部もしくは他の国際連合施設に立ち入ることを妨げるものではない。
15、16(略)
17. 全ての加盟国は、自国領域内で、またはDPRKの拡散上機微な核活動もしくは核兵器運搬手段の開発に寄与しうる分野を専門とする自国民によって、DPRK国民への専門的教育もしくは訓練が行われることを防止しなければならないことを決定する。そうした教育や訓練には、高等物理学、高等コンピューターシミュレーション及び関連するコンピューター科学、宇宙地理航法(geospatial navigation)、核工学、航空宇宙工学、航空工学及び関連分野に関するものが含まれる。
18. 全ての加盟国は、自国の空港、港湾及び自由貿易地域を含む自国領域内に存在し、もしくは自国領域内を通過する貨物で、DPRKを出発し、DPRKに向かい、DPRKもしくは同国民によって、または、DPRKもしくは同国民に代わって、もしくはその管理下にある個人もしくは組織によって、周旋もしくは援助されている貨物、あるいは、DPRKに籍を置く航空機または船舶によって輸送されている貨物を、決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議に違反して運搬されている貨物が存在しないことを確実にするために、検査しなければならないことを決定する。また、加盟国に対して、これら検査を、当該加盟国が人道目的であると判断した貨物の運搬への影響を最小化するような方法で実施するよう、要請する。
19. 加盟国が、自国国民及び自国領域内にいる者が、当該加盟国に籍を持つ船舶もしくは航空機をDPRKに賃貸もしくは同国からチャーターすること、またはそれらの運航役務をDPRKに提供することを、禁止しなければならないことを決定する。さらに、同禁止は、当該加盟国が制裁回避、あるいは決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議の諸条項への違反を援助したと判断した個人もしくは組織、それら個人もしくは組織に代わって、あるいは、それらの指示に従って活動しているいかなる個人または組織、あるいはそれら個人もしくは組織によって所有または管理された組織にも適用される。加盟国には、DPRKによって所有、運行もしくは乗組員を供給されているいかなる航空機、船舶の登録をも抹消することが要請される。さらに加盟国には他の加盟国が本節にしたがって登録を抹消したいかなる航空機、船舶をも再登録しないことが要請される。さらに、本条項は、以下の情報提供をともなって制裁委員会に事案ごとに事前通知された賃貸、チャーターもしくは運行役務の提供には、適用されないことを決定する: a)当該活動が、DPRKの個人又は組織に収益をもたらすことなく、生活目的に限って行われることを証明する情報。 b)当該活動が上記各決議への違反に寄与することがないように執られた措置に関する情報。
20~23(略)
24. DPRKが、全ての化学・生物兵器及び兵器関連プログラムを放棄し、「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」の加盟国としての義務に厳密に従って行動しなければならないことを決定する。さらにDPRKに対し「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」に加盟し、同条約の諸条項をただちに遵守するよう求める。
25、26(略)
27. 決議1718(2006年)第8節(a)及び同8(b)によって課せられている措置は、加盟国が、DPRKの核もしくは弾道ミサイル計画、または他の大量破壊兵器計画、決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議によって禁止されている活動に寄与しうると判断し、または決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)によって課されている措置の回避に寄与すると判断した、全ての物品に適用されることを決定する。
28. 決議1874(2009年)第14ないし16節、および決議2087(2013年)第8節を再確認するとともに、これら各節は、その供給、販売、移転が決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)または本決議によって禁止されていることが、本決議の第18節にしたがって行われる検査を通じて確認されたすべての物品に対しても、適用されるべきことを決定する。
29. DPRKが、石炭、鉄及び鉄鉱石を、直接的にも間接的にも、自国領土から、または自国民によって、または自国に籍を置く船舶もしくは航空機を用いて、供給、販売、移転してはならないことを決定する。全ての加盟国は、自国民または自国に籍を置く船舶及び航空機が、DPRKの領土を出発地とするか否かにかかわらず、これら物資をDPRKから調達することを禁止しなければならない。本条項は、以下の場合には適用されない:
(a) 調達国が、信頼に足る情報に基づき、原産地がDPRKではなく、羅津(ラジン)港からの輸出のみのために、DPRK国内を通過して輸送されたと確認した石炭。ただし、加盟国が、制裁委員会に事前に通知し、当該取引が、核及び弾道ミサイル計画、あるいは決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議で禁止された他の活動のための収益をDPRKにもたらすことに関係しない場合に限る。
(b)生活目的に限定され、DPRKの核及び弾道ミサイル計画、または決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議で禁止された他の活動のための収益をDPRKにもたらすことに関係しない取引。
30. DPRKが、金、チタン鉱石、バナジウム鉱石、もしくは希土類鉱物を、直接的にも間接的にも、自国領土から、または自国民によって、または自国に籍を置く船舶もしくは航空機を用いて、供給、販売、移転してはならないことを決定する。さらに全ての加盟国は、自国民または自国に籍を持つ船舶及び航空機が、DPRKの領土を出発地とするか否かにかかわらず、これら物資をDPRKから調達することを禁止しなければならない。
31. 全ての加盟国が、航空用ガソリン、ナフサ系ジェット燃料、ケロシン系ジェット燃料、ケロシン系ロケット燃料などの航空燃料を、原産地が自国であるか否かを問わず、自国国民によって、または自国領土から、または自国に籍を置く船舶もしくは航空機を用いて、DPRKの領域に販売し供給することを防止しなければならないと決定する。ただし、制裁委員会が、分配及び使用に関する効果的な検証のため定められた取決めに従って、そうした物資のDPRKへの移転に必須の人道的必要性があることを、事前に例外的事案として検証し承認した場合を除く。さらにまた、本条項は、DPRK外の民間の旅客機が、DPRKへの往路及び復路においてのみ消費する航空燃料の販売もしくは供給については適用されない。
32. 決議1718(2006年)第8節(d)によって課せられている資産凍結は、DPRK政府もしくは朝鮮労働党の組織、これらに代わって、もしくはこれらの指示によって活動する個人もしくは組織、またはこれら組織が所有もしくは管理する組織によって、直接的もしくは間接的に所有、管理され、DPRKの核もしくは弾道ミサイル計画、または決議1718(2006年)、1874(2009年)、2087(2013年)、2094(2013年)もしくは本決議で禁止された他の活動に関連していると当該加盟国が判断した、在外の資金その他の金融資産及び経済的資産の全てに適用されることを決定する。(後略)
33~49(略)
50. 6か国協議への支持を再確認し、その再開を求め、2005年9月19日に中国、DPRK、日本、韓国、ロシア連邦及び米国によって発出された共同声明に記された、6か国協議の目標が平和的方法による朝鮮半島の検証可能な非核化であること、米国とDPRKが相互の主権を尊重し、平和的に共存すると約束したこと、そして6か国が経済協力の推進を約束したこと、及び他の関連する誓約を含む、諸誓約への支持を繰り返し表明する。
51、52(略)

付属文書Ⅰ 渡航禁止/資産凍結(個人)(略)
付属文書Ⅱ 資産凍結(組織)(略)
付属文書Ⅲ オーシャン・マリタイム・マネジメント(OMM)の船舶(略)
付属文書Ⅳ 嗜好品(略)

(訳:ピースデポ)