【短信】北朝鮮が衛星打上げ    
日本政府は過剰な迎撃体制でミサイル防衛の存在感示す

公開日:2017.07.24

 2月9日、北朝鮮は地球観測衛星「光明星(クァンミョンソン)4号」を「光明星」ロケットで打ち上げ、地球周回軌道に投入するのに成功したと発表した。軌道上を何らかの物体が周回していることは、米国当局によっても確認されている。
 日本は韓米とともにこれを非難、イージス艦3隻を東シナ海と日本海、PAC3を沖縄本島、先島諸島、首都圏の計7か所に配備し監視・迎撃態勢をとった。
 国連安保理決議は、北朝鮮に対して「弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射」をも禁じている。これは核兵器開発との関係を考慮して導入された禁止条項である。北朝鮮は国際海事機関(IMO)に衛星打上げの事前通告を行っているが、安保理決議違反の非難は免れえない。だが、予想飛行経路近辺のみならず遠く離れた首都圏にまでPAC3を配備した日本政府の対応は、ミサイル防衛(MD)の存在感を示す意図をもった、過剰反応としかいいようがない。
 もちろん、打上げ用ロケットと弾道ミサイルには技術的な共通点が多い。1月の核実験と考え合わせれば北朝鮮の視線の先に「核ミサイル能力」があることは誰も否定できない。しかし、日本市民は今一度冷静になって考える必要がある。北朝鮮が核ミサイルへの野望を抱いているとしたら、それを押しとどめられるのは外交交渉以外にはない。次号で詳報する。(田巻一彦)