<資料1>2016核保安サミット・コミュニケ(全訳) 

公開日:2017.07.17

2016年4月1日

 核および放射能テロの脅威は国際の安全保障に対する最大の挑戦の一つである。そしてその脅威は継続的に拡大している。2016年4月1日、第4回核保安サミットのためにワシントンDCに集った我々国家指導者は、このサミットが2010年以来、その脅威に対する認識を高め、核保安に関する多くの具体的で意義深い永続的な改善をもたらしたと言えることを誇らしく思う。サミットはまた、核保安に関する国際的法律文書の広範囲の批准と履行などを通して、国家、地域、世界のレベルで核保安の枠組みを強化した。我々は核物質の物理的防護に関する条約とその2005年の改正、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約の重要性を強調し、それらの普遍化と完全なる履行に向けて努力する。我々は核物質と原子力施設の物理的防護に関する2005年改正条約の速やかな発効と、さらなる批准を歓迎する。
 我々は核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用という共通の目標に対する誓約を再確認する。我々はまた核保安を強化する措置が、原子力エネルギーを平和目的で開発、使用する国家の権利を妨げないことを再確認する。我々は、国家が各々の義務に従い、核兵器に用いられる核物質を含むすべての核及び放射性物質、並びに自らの管理下にある核施設の保安を常に効果的に維持することは、国家の基本的責任であると再確認する。非国家主体による核や他の放射性物質の入手を防ぐため、さらに多くの作業がなされる必要がある。非国家主体はこれら物質を邪悪な目的のために使うことがありうるからである。我々は核テロの脅威を減じ核保安を強化することによって、平和で安定した国際環境を醸成することを誓約する。
 保安の改善を持続するためにはあらゆるレベルにおける絶え間ない警戒が必要である。そして我々は我々の国々が核保安を継続的な優先課題とし続けることを誓約する。我々は指導者として自身の責任を強く認識している。今日取る行動によって明日の核保安事故を防ぐことができる。機微な情報を保護しつつ、各国の状況に照らして、我々がそのような措置を目に見える形で取ることを選べば、それは各国の核保安体制の有効性を高め、信頼を構築することに貢献する。
 核、放射性物質テロに対抗するには、国家の国内法や手続きに沿って情報を共有することを含む国際協力が要求される。国際協力は共通の利益とすべての人の安全のための、より包含的で調整され持続可能な、強固な核保安の枠組みに貢献できる。
 我々は、グローバルな核保安の構造を強化し国際的指針を開発するにあたっての国際原子力機関(IAEA)の重要な責任と中心的役割、国際機関間及びイニシアチブ間での核保安活動の促進や調整、及び核保安の責任を遂行する各国の努力への支援における指導的役割を再確認する。我々は、IAEAが政治的気運を維持し、すべての関係者の間で核保安の意識を高めるために、2016年12月の閣僚会議を含む核保安に関する国際会議のような、定期的なハイレベル国際会議を開催することを歓迎し、支持する。
 我々はこのサミットのプロセスを支えた官僚や政府専門家の国際的ネットワークを維持し、広く国家共同体を糾合するのみならず、原子力産業や市民社会の関係するパートナーの継続的な参加を奨励するよう努める。
 政治的気運を確保し、国家、地域、世界のレベルでの核保安を継続的に強化するための我々の継続的な集団的決意の中で、我々おのおのが属する国際組織とイニシアチブ(国連、IAEA、インターポール、核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアチブ、大量破壊兵器及び物質の拡散に対するグローバル・パートナーシップ)を支持しつつ、我々は自発性を基礎として実行され、各国の国内法や関係する国際的義務に合致する添付の行動計画の履行を決意した。これらの計画は参加国の政治的意思を反映している。
 2016年のサミットでこの形態での核保安サミットは終了する。我々は2010、2012、2014年サミットのコミュニケと2010年サミットの作業計画が、我々がこれらを完全に履行するときの努力の指針となり続けるであろうことを確認する。
(訳:ピースデポ)

※原文テキスト:
「核保安サミット」ウェブサイト内  にリンクあり。