<資料2>表現の自由に関する国連特別報告者の日本訪問報告書(抜粋訳)
公開日:2017.10.12
A/HRC/35/22/Add.1
2017年5月29日
人権理事会 第35会期
議案3 開発の権利を含む人権、市民、政治、経済、社会並びに文化的権利
特別報告者による日本における言論・表現の自由の促進と保護に関する報告
Ⅰ~Ⅲ(略)
Ⅳ. 言論及び表現の自由に関する状況
A.~E.(略)
F.大衆的示威行動
58.日本には強力かつ賞賛に値する大衆的示威行動の文化がある。(略)それにも拘わらず、活動家の間には抗議行動に対する不必要な規制、参加者の録画、右翼的な政治傾向を持つ人々による妨害、イスラム共同体への監視などといった懸念がある。特別報告者はこれらの懸念を警察庁の職員に伝え、率直に議論した。特別報告者はこれら事象をフォローし、大衆的抗議行動に最大限の自由を提供するという日本のコミットメントに関する対話を継続する。
59.(略)
60.特別報告者の懸念に関連して最近起こった一つの事例は、16年10月、沖縄平和運動センターの指導者である山城博治氏が逮捕された事件である。彼は、沖縄北部・東村の米軍用ヘリパッド付近の有刺鉄線を切断した嫌疑で逮捕された。彼はまた、名護市辺野古地区のキャンプ・シュワブにおける移転作業を妨害し、防衛局職員の肩を掴んで揺さぶり負傷させたという罪に問われた。山城氏は威力業務妨害及び暴行については無罪を主張したが、有刺鉄線を切断した器物損壊については認めた。山城氏は5か月にわたり勾留され、この間審理は行われなかった。このような長期勾留は山城氏の容疑に照らして不当というべきものである。本報告書執筆の段階では山城氏は釈放されているが、特別報告者は、このような政府の行為がとりわけ表現、大衆的抗議行動及び異議申し立てを萎縮させることを懸念している。
(略)
72.訪問及び訪問に関連して後に入手した情報に基づき、特別報告者は沖縄における大衆的抗議行動に対する圧力に関してとりわけ懸念を抱いている。報告者は大衆行動に圧力が加えられたことを認める一方、公的機関、とりわけ法執行機関は、報道に取り上げられることを含めて、これら抗議と異議申し立てが有効に機能するようすべての努力を払うべきである。参加者彼らに対する不均衡なペナルティを含めて、抗議行動を悪事のように扱うことは、公共政策に対する異議を唱えるという全ての日本国民の基本的な自由を弱体化させるであろう。
Ⅴ.結論及び勧告(略)
(訳:ピースデポ)
出典:
www.ohchr.org/EN/Issues/FreedomOpinion/Pages/Annual.aspx