<資料3> 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会声明
公開日:2017.07.24
【資料3】
2016年1月6日朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による核実験に関する世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会声明
公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は、北朝鮮によるこの度の核実験に対し深く憂慮し強く反対を表明する。さらに世界の平和と安全のために、すべての核兵器が廃絶されることを改めて訴えるものである。
北朝鮮は過去3度、 2006年10月9日、2009年5月25日、 2013年2月12日に核実験を強行してきた。これらの核実験に対し、WCRP日本委員会は国際法及び国連安全保障理事会 決議に対する明確な違反であること、 そして北東アジアのみならず広く国際社会に深刻な脅威を生起させ、国際 的な緊張をさらに高めるものとして その都度、遺憾の意を表明し、国連をはじめ関係諸国に対して適切な措置や対話による事態解決を要望してきた。
2016年1月6日に北朝鮮が実施した核実験は、これまで国際社会が懸命に築いてきた核軍縮・不拡散体制に対する挑戦とも言うべきものであって、北東アジアの国々に不信を増長させ、不要な対立を生み出すものであるだけでなく一層深刻化させるものである。さらには二度と原爆・水爆の誤りを犯してはならないと悲惨かつ非人道的な被爆体験を語り続けている被爆者の平和への願いを踏みにじるだけでなく、核廃絶を願う世界の多くの人々の良心を裏切る行為である。
一方、今回の核実験は、北朝鮮自身の国際的孤立化をさらに深めさせ、ひいては国の経済に重大な損失をもたらし、自国国民に対し死活的な困難とさらなる犠牲を強いるものであり、私達は宗教者として深い危惧を禁じ得ない。
さらに倫理、人道に反し存在が悪とも言える核兵器を所有しながら北朝鮮の核実験を非難している核保有国 に対しても、改めてその矛盾した姿勢を改めるよう指摘するものである。これを契機に核保有国こそ本当に平和を願うなら一日も早い自らの保有する核兵器も含めて廃絶への行動を起こすべきことを強く要請する。
さらにまた北朝鮮を取り巻く国々が、自国の利益を優先する立場から、北朝鮮の核開発の進展を看過してきた危険性にも言及したい。関係国は 自国の利害を超えて真の北東アジアの平和に寄与する方策は何か、新たな外交関係の構築に努力されんことを希望する。
ここにWCRP日本委員会は、この度の北朝鮮による核実験に対し、以下の通り、重ねて私達の願いを強く訴えるものである。
1.この度の核実験は、「他者と共に生きる歓び」を信条として平和な世界 の実現を目指すWCRP関係者のみならず宗教者の立場から到底、容認し得ないものであり、国連はじめ、関係諸国は互いに協調を重視しつつ、可及的速やかに適切な措置を講ずること。
2.世界の各国政府は、この度の北朝鮮の核実験の強行に対し過剰な反応に走ることなく、対話による事態打開に向け、冷静かつ忍耐強くさらなる努力を続けること。
3.北東アジアの非核化を目指す6カ国協議ならびに核不拡散条約(NPT)の対話の場に北朝鮮が復帰するように促すこと。
4.世界のメディアは、事態に対する冷静な判断と報道に努め、世界の市民間に憎悪と対立が助長されることを抑止すべきであること。
5.世界の各国政府は、今回の核実験を傍観することなく、核兵器の例外なき廃絶の実現に向けて、核兵器禁止条約の早期締結に尽力し、世界の非核化の実現に努めること。
私たち日本の宗教者は、世界90ヶ国をつなぐWCRP国際ネットワーク と連帯し、国連諸機関及び平和を希求する世界のNGO団体と協力し、平和に対する深い祈りと粘り強い対話を通じて事態の解決に努めることを誓い、あわせて私たちの願いを国際世論に強く訴えるものである。
2016年1月9日
公益財団法人世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会
理事長 杉谷義純