【資料】  「オバマ大統領に広島で具体的行動をとることを求める学者・活動者国際声明」

公開日:2017.07.15

2016年5月23日
バラク・オバマ大統領
ホワイトハウス、ワシントンDC

親愛なる大統領閣下、
 あなたが日本で開催されるG7経済サミットの後、今週後半に、広島を訪問する初めての現職の米国大統領になるという計画を知り、うれしく思いました。私たちの多くは広島と長崎に行ったことがあります。それは、ジョン・ケリー国務長官が最近の訪問で経験されたように、意義深い、人生を変えるような経験でした。
 特に、原子爆弾からの生存者である被爆者に会い、個人的な話を聞くことは世界平和や軍縮へ向けた私たちの取り組みに他に類のない影響を与えました。被爆者の苦しみのみならず、彼らの知恵、彼らの畏敬の念を起こさせる人類愛の感覚、彼らが自分たちの経験した恐怖を他の人間に二度と味わわせないよう断固として核廃絶を提唱しているのを知ることは、かけがえのない贈り物であり、これにより誰もが核の脅威に立ち向かう決意を固めるしかなくなります。
 核兵器のない世界を求める、あなたの2009年のプラハ演説は世界中に希望を与えましたし、ロシアとの新START条約、イランとの歴史的な核合意、世界中に存在する核兵器に使用可能な物質の備蓄を流出から守り削減したことは、意義のある業績です。
 しかし、15,000発以上の核兵器(93%は米国とロシアにより保有されている)がこの惑星の諸国民を依然として脅かしている状況では、もっとたくさんすべきことがあります。核兵器のない世界へ向かってもっと大胆に進んでいくために、あなたは在任期間中にまだ決定的な指導力を発揮することができるはずだと、私たちは信じています。
 この観点から、核兵器のない世界へ向けた取り組みを行うというプラハでのあなたの約束を果たすべく、次のことをされるよう、強く要請します。
●(式典に)参加することのできるすべての被爆者に会うこと。
● 新世代の核兵器とその輸送システムに1兆ドルを費やすという米国の計画を止めると宣言すること。
● 配備済の米国の核弾頭を一方的に1,000発以下にすると宣言することによって、新START条約を超える核軍縮交渉を再活性化すること。
● ロシアに対し、世界の備蓄核兵器の完全廃絶のために核不拡散条約で求められている「誠実な交渉」を、米国と共に執り行うよう求めること。
● アイゼンハワー大統領、マッカーサー、アーノルド、ロメイの各元帥、リーハイ、キング、ニミッツの各提督でさえも戦争の終結に必要ではなかったと述べていた原爆投下をとりまく歴史について、謝罪したり議論したりすることを拒絶するのを再考すること。
敬具