<資料1>決議「多国間核軍縮交渉を前進させる」(全訳)
公開日:2017.04.13
A/C.1/71/L.41
2016年10月14日
オーストリア、ブラジル、チリ、コスタリカ、コンゴ民主共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、インドネシア、アイルランド、ジャマイカ、ケニア、リヒテンシュタイン、マラウィ、マルタ、メキシコ、ナミビア、ナウル、ニュージーランド、ナイジェリア、パラオ、パナマ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、サモア、南アフリカ、スリランカ、スワジランド、タイ、ウルグアイ、ベネズエラ、ザンビア1:共同提出決議案
総会は、
核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉の前進に関する2012年12月3日の決議67/56、2013年12月5日の決議68/46、2014年12月2日の決議69/41、2015年12月7日の決議70/33を想起し、
核兵器のいかなる使用によっても壊滅的な人道上の結末がもたらされることを深く憂慮し、
核兵器の存在に関連するリスクについても深く憂慮し、
とりわけ軍縮交渉の成功は世界の諸国民すべてにとって死活的な利益であり、すべての国家には軍縮交渉に参加する権利があると述べた、軍縮のための初の特別会期である国連総会第10特別会期の宣言※2を想起し、
国連総会第10特別会期の最終文書※に明記された、ジュネーブ軍縮会議(CD)及び軍縮委員会(UNDC)の役割と機能を再確認し、
世界の経済・社会開発ならびに国際の平和と安全に対する脅威への取り組みの責任は、世界の国々によって共有され、多国間で果たされなくてはならず、世界で最も普遍的で最も代表性のある機関として、国連は中心的な役割を果たさなくてはならない、と明記されている国連ミレニアム宣言※を想起し、
多国間軍縮の前進を確実なものとするための加盟国の努力と、そうした努力に対する事務総長の支持を歓迎するとともに、この点と関連する事務総長による「核軍縮に関する5項目提案」を想起し、
核不拡散・軍縮体制の礎をなす核不拡散条約(NPT)が、核戦争により全人類の上にもたらされる惨害および、その帰結として核戦争の危険を避けるためあらゆる努力をするとともに諸国民の安全を守る措置をとる必要があることを考慮して交渉されたことを想起し、
NPT締約国の義務および、1995年NPT再検討・延長会議※、2000年NPT締約国再検討会議※、2010年NPT締約国再検討会議※の最終文書に反映された締約国の誓約をも想起し、
各NPT再検討会議においてなされた様々な誓約をNPT締約国が完全かつ効果的に履行する重要性を強調し、
多国間外交が、軍縮及び不拡散分野で持つ絶対的な有効性を再確認し、軍備規制及び軍縮交渉を進める上で必要不可欠な多国間主義を促進することを決意し、
国連の枠組みにおける多国間核軍縮交渉が20年間、具体的な成果を出していないことを心に留めると共に、核軍縮のための効果的措置についての交渉に誠実に携わる義務を国家が負っていることをも心に留め、
現在の国際環境のもとでは、軍縮・不拡散問題への政治的関心の増大、多国間軍縮の促進、核兵器のない世界の達成が、いっそう緊急なものとなっていることを認識し、
2012年12月3日の決議67/39 にしたがって2013年 9 月26 日に開催された核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合がこの分野での進展を求める国際社会の願望を強調したことを歓迎するとともに、この会合のフォローアップである2013年12月5日の決議68/32に留意し、
決議67/56 に従って提出され決議68/46で参照された、核兵器のない世界の達成と維持に向けて多国間核軍縮交渉を前進させるための計画を立案する公開作業部会(OEWG)の作業報告※を歓迎するとともに、決議68/46 に従って提出された事務総長報告※の中に、加盟国がこの目的のためすでに実施しているものも含め、多国間核軍縮交渉を前進させる方策に関する加盟国の見解が含まれていることに感謝と共に留意し、
さらに、軍縮と平和、安全保障の問題を取り扱う国連機構において多国間核軍縮交渉を前進させる方策に関する議論を引き続き豊富化してゆくために、すべての加盟国、国際機関、市民社会が行っている努力を歓迎し、
核兵器を禁止する法的拘束力のある文書が包括的な核軍縮に向けて重要な貢献をなすことを念頭に置き、
不可逆的で検証可能で透明性のある核兵器の破壊のための追加的措置が、実際的なものも法的拘束力のあるものも、核兵器のない世界の達成の維持に必要であることをも念頭に置き、
包括性の重要性を強調し、核兵器なき世界の達成に向けた努力へのすべての加盟国の参加を歓迎し、
優先順位の高い核軍縮・不拡散問題について実質的進展を確実にすることの重要性と緊急性を強調し、
とりわけ軍縮に関する審議と勧告を行うという国連総会の機能及び権限に言及した国際連合憲章第11条に留意し、
1.総会により決議70/33のもとに設置され、2016年にジュネーブで会合を行った、多国間核軍縮交渉を前進させる公開作業部会が、包括的、包含的、双方向的、建設的な態様で体系的・実質的な議論を行ったことを満足と共に留意する。
2.決議70/33によって総会が設置した作業部会の報告書※を歓迎する。
3.作業部会の開催中に示された、多国間核軍縮交渉の前進に向けた国際機関と市民社会の参加と貢献の価値を認識する。
4.多国間核軍縮交渉を前進させることの普遍的な目的が、引き続き核兵器のない世界の達成と維持であることを再度強調するとともに、多国間核軍縮交渉の前進に向けては包括的、包含的、双方向的、建設的な方法で核兵器関連問題を扱うことが重要であることを強調する。
5.多国間核軍縮交渉の実質的進展を確実に図ることの緊急性を再確認する。
6.核兵器のない世界の達成と維持のために締結する必要のある具体的で効果的な法的措置、法的条項や規範を練り上げるためさらなる努力の追求が可能であり、またそうすべきであると勧告し、NPTとそこでの誓約の重要性を再確認し、そして上記措置、条項や規範の追求はNPTの3本柱を含む核軍縮・不拡散体制を補い強化するものでなければならないと考える。
7.各国が、公開作業部会の報告書で提起されているような、多国間核軍縮交渉の前進に寄与するであろう様々な諸措置の実施を適宜、検討することをも勧告する。諸措置には以下を含むが、それに限定されない。既存の核兵器に伴う危険性に関連した透明性措置、事故、過誤、無認可によるあるいは意図的な、核兵器爆発の危険性の低下及び除外のための諸措置、核爆発がもたらす多岐にわたる人道上の結末の複雑性、それらの相互関連性に対する認識や理解を促進させるための追加的措置、多国間核軍縮交渉の前進に貢献しうるその他の措置。
8.核兵器を禁止しそれらの全面的廃棄に導く法的拘束力のある文書を交渉するため、2017年に国連の会議を招集することを決定する。
9.すべての国連加盟国に対し、この会議に参加するよう奨励する。
10.会議は、当該会議が同意したのでない限りは総会手続規則に従い、2017年3月27日から31日まで、及び2017年6月15日から7月7日まで、国際機関と市民社会代表の参加と貢献のもと、ニューヨークで開催することを決定する。
11.併せて、会議ができるだけ早く運営に関する1日間の会合をニューヨークで持つことも決定する。
12.会議の参加国に対し、核兵器を禁止しそれらの全面的廃棄に導く法的拘束力のある文書をできるだけ早く締結するため最善の努力を尽くすよう呼びかける。
13.会議がそこでの交渉の進展について第72回国連総会に報告書を提出することを決定する。総会は交渉の進展状況について評価し、今後とるべき道を決める。
14.事務総長に対し、会議の開催に必要とされる支援を提供するよう、また、会議報告書を軍縮会議(CD)、国連軍縮委員会(UNDC)および決議68/32第6節で開催が見込まれている国連核軍縮ハイレベル国際会議に送付するよう求める。
15.第72会期の暫定議題として、「全面的かつ完全な軍縮」と題する項目の下に「多国間核軍縮交渉を前進させる」という小項目を含めることを決定する。
(訳:ピースデポ)
訳注
1 これに以下の国々が加わり、委員会投票時点での共同提案国は計57か国となった。アンゴラ、バハマ、ベリーズ、ブルンジ、カーボベルデ、ドミニカ共和国、エジプト、フィジー、グレナダ、ギニアビサウ、リベリア、リビア、マレーシア、マーシャル諸島共和国、モーリタニア、パプアニューギニア、セントルシア、セントビンセント及びグレナディーン諸島、サンマリノ、シエラレオネ、トリニダード・トバゴ、ツバル、ベトナム。
2 ※印には原文では参照すべき文書の名称などが注記されているが、省略した。